7.2. 光合成の基礎
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光合成 photosynthesis
植物と藻類(藻類は原生生物に属する)とある種の細菌が、二酸化炭素と水を出発材料として使って、光エネルギーを化学エネルギーに変換する過程
光合成によって生み出された化学エネルギーは糖分子の化学結合として蓄えられる
無機成分から自分自身の有機物を合成する生物は独立栄養生物と呼ばれる
光合成によって有機物合成を行う生物、すなわち光合成独立栄養生物はほとんどの生態系において生産者である
葉緑体 : 光合成の場
葉緑体 chloroplast
光を吸収する細胞小器官
植物のすべての緑色部分は葉緑体を持ち、光合成を行う
ほとんどの植物において、ほとんどの葉緑体は葉にある
クロロフィル chlorophyll
葉の緑色
光を吸収する色素で、葉緑体に存在し、太陽エネルギーから化学エネルギーの変換において中心的な働き
葉緑体は葉の内部の細胞に集中して存在している
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二酸化炭素(CO2)は気孔 stomata(単数形はstoma)という小さな孔を通って入り、酸素(O2)はその孔から出ていく
二酸化炭素に加えて、光合成には水が必要
水は植物の根から吸収され、葉に輸送され、葉脈によって光合成を行う細胞まで運ばれる
葉緑体内の膜は、光合成の多くの反応が行われる場を形成している
ミトコンドリアのように、葉緑体は二重の膜(包膜)に包まれている
内側の葉緑体包膜(内包膜)は濃厚な溶液相であるストロマ stromaで満たされた区画を包み込んでいる
ストロマの液相中には、チラコイド thylakoidとよばれる膜の袋が、たがいにつながった状態で存在している
チラコイドは集まってグラナ grana(単数形はgranum)と呼ばれる積み重なりを形成している
光エネルギーを捕捉するクロロフィル分子はチラコイド膜に組みこまれている
チラコイドの扁平な袋の積み重なりをもつ葉緑体の構造は、大きな表面積を光合成の諸反応に供することによって、葉緑体の機能に役立っている
光合成の全体式
光合成と細胞呼吸の間の関係を強調するために簡略した反応式
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光合成の反応物は二酸化炭素(CO2)と水(H2O)でこれらはまた細胞呼吸の廃棄物でもある
光合成は呼吸によって使われるもの、グルコース(C6H12O6)と酸素(O2)をつくる
多くのエネルギーを要する化学変化で、クロロフィルが吸収した太陽光がそのエネルギーを供給する
細胞呼吸は電子伝達の過程であり、酸化還元反応である
食物分子から酸素へ電子が「落下」して水を生じることによってエネルギーが解放され、そのエネルギーをミトコンドリアが使ってATPを合成する
光合成ではその反対のことが起こる
電子は「上り坂」を押し上げられ、二酸化炭素に与えられて糖をつくる
一方、上図のように光合成の全体式を考えると、光合成の酸化還元反応の過程は水の水素を二酸化炭素に転移するといえる
この水素の転移には、葉緑体で水分子が水素と酸素に分解することが必要
この水素は電子とともに二酸化炭素に転移され糖(グルコース)をつくる
酸素は光合成の廃棄物であるが、O2として気孔から大気へ散逸していく
光合成の経路図
実際には光合成は明反応とカルビン回路の2つの段階をもって行われる
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明反応 light reaction
チラコイド膜のクロロフィルが太陽エネルギーを吸収し、そのエネルギーがATPとNADPHの化学エネルギーに変換される
ATPは細胞の殆どの仕事を駆動する分子
NADPHは電子伝達体
光合成では水に由来する電子がNADP+(酸化型)に伝達され、NADPH(還元型)を生じる
明反応の過程で、電子の供給源である水が分解し、副産物として気体のO2を放出する
明反応の過程では、糖は合成されないことに注意
カルビン回路 Calvin cycle
二酸化炭素から糖を合成するためのエネルギー源として明反応の産物を使う
カルビン回路の酵素群はストロマという葉緑体内部の濃厚な溶液相に溶けた状態で存在する
カルビン回路は糖の合成のために、明反応でつくられたATPとNADPHの供給を必要とするので、光に間接的に依存している
明反応でつくられたATPは糖の合成のためのエネルギー源
明反応でつくられたNADPHは二酸化炭素を還元して糖を合成するための高エネルギー電子を供給する
→7.3. 明反応 : 太陽エネルギーの化学エネルギーへの変換